木曜日, 11月 01, 2007

現地確認の事前調査顛末記

和55年に市街化調整区域の山林を購入したひと曰く。
隣接する土地が大規模開発されて市街化区域に編入されたらしい土地の詳細な位置がわからなくなったので、現地に出向いて確認したい。
そこで、協力してくれないか。

軽い気持ちで引き受けた。
たしかに、現況の土地には地番が描いてあることはないので、過去の記憶だけでは所在を特定することは無理だろう。このままでは、現地に行っても確認できる確率5%未満だ。土地の地番から現況位置を探し出すわけだが、これが意外と大変な作業となった。

◇調査第一段階
土地の地番を電話で確認して、インターネットを利用して各サイトの地図情報を調査した。 しかし、土地が山林であることから、どこのサイトも記載されていない。よくお目にかかる地図は、住居表示なので土地の地番でないのはわかっていたが、手がかりにりもならなかった。片手間では探し出せそうにない。

◇調査第二段階
地目が山林であることから、森林区域に編入されていると予測し、赤坂にある農林事務所まで出向いた。森林台帳図の閲覧は本人か委任状が必要とのことを事前に電話で確認済み。赤坂に出向く途中、寄り道して委任状を作成してもらった。台帳図は地番が描いて無く管理番号が記入されている。台帳簿を確認すると該当する地番が存在しない。つまり、地目が山林であっても樹木がなければ森林区域には編入されない。ここも無駄骨であった。
手間のかかる土地である。

◇調査第三段階
残りの手がかりは法務局しかない。
住宅地図に地番が重ね合わせてある地図、いわゆる”ブルー・マップ”が唯一の情報になった。赤坂の法務局に出向いたが、管理地域以外のようで、急遽、西新まで移動した。いつもは一日に1000歩程度しか歩かないのに今日はよく歩く羽目になったが、こちらの方が健康的か?いや、昨日の酒が若干残っている体調で結構キツイ。
ブルー・マップで周辺の当たりをつけ、字図(あざず)を購入した。購入後該当する地番を確認すると、愕然とした気分になる。土地が幅員2m程度の里道(りどう)のような形状になっている。この形状なら樹木も無く森林区域から除外されていても仕方ない。

不動産屋にだまされたか。頭をよぎる。

さらに土地登記簿謄本と地籍図を購入して確認。
追い打ちをかけるような情報が記載されている。たしかに調査を依頼した所有権の移転手続きは完了しているが、1/18の共有持ち分となっているのだ。

完全にだまされている。

早速依頼者に報告をしなければと思い連絡をした。ここまで調査開始から5時間程度要した。

◇調査報告、分析
一人で面と向かって説明する勇気もないので、知人に連絡を取り同席してもらうことにした。その時点まで判明した内容から不動産屋にだまされて購入した確率が高いことを説明した。

ひとしきり説明のあと、土地購入時の資料を詳細にみると購入した地番が混乱していることがわかる。各資料ごとに違う地番が記入されている。電話で聞いた地番が正確なら完全にアウト。

後日の現地確認も意味をなさない。

知人と資料を確認していると、もしかしたら購入した土地の地番が違うのではないか、という予測できる資料があった。売買契約書に道路の負担面積(10%)を含むと記入してあるのだ。道路負担分が先ほどの地番であれば共有されていることも理解できる。このことは依頼者から情報としてまったく聞いていない内容だ。同時に、購入した土地の地番は先ほど調査した地番であることを伺わせる資料もあるが。再度、法務局に出向いて確認する前に、資料として保管してある地籍測量図の写しから、購入した実面積を三斜計算してみる。その後、道路負担面積の10%を加算してみると、購入した売買面積とほぼ一致した。

実は購入した土地は、こちらのほうである可能性が高くなったので、再度、法務局に出向いた。該当する土地登記簿謄本の所有者を端末で確認してもらい、依頼者の所有になっていることを確認して登記簿謄本を購入した。早速、連絡して安心してもらう。

◇事前調査最終結果
つまり、購入したのは2筆であり、本体の地番と違う地番(共有地)で調査していたことになる。orz
しかし、依頼者も2筆購入していたことを知らなかったはずだ。新たな発見である。最後には、笑い話になる結果となりほっと一安心。
市街化調整区域から市街化区域への編入はなされていないようだ(LUCKY調べ)。字図、地籍測量図、土地登記簿謄本以外にも法務局備え付けの”ブルー・マップ”をコピーしたので現地で確認できる確率は5%未満から95%に大幅アップ。
この調査の報酬は、成功報酬であり、現地で確認できれば、帰りに”大宴会”を行うことになっている。

楽しみだ。

もし失敗に終われば、小宴会もなく、ただ、しょぼんとして帰らなければならない。
あとは当日、若干の山のぼりがあるのでいい天気になることを願うばかりである。

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